K's Station

「ご当地萌えキャラマスター」Komaの、愛と笑いのドタバタブログ

      「旅行」カテゴリで温泉むすめや鉄道むすめなど、旅行記の一覧が見れますので、よければご覧くださいね。


横須賀市のイングレス戦略に見る、イベント成功のために大切なこと

Ingress × 地方自治体イベントレポ★「結局、イングレスで観光振興できるって本当だったんですか?」 −Kakeru

これ…そのまま聖地巡礼にも当てはまりますよね。

(イングレスで)地方は活性化するか否か?

Ingress × 地方自治体」というイベントが6月4日にあったそうで。僕は出席してませんが、レポを見るだけでもすごく興味深く、レベル8の甘ちゃんエージェントの僕でも聞きに行きたいと思えるものでした。「地方自治体」と銘打ってることからもわかるように、80名超の参加者のうち自治体関係者が7割以上。イングレスを用いた地域活性の例として横須賀市の担当者も登壇されたようです。その他、ナイアンティック・ラボの方、有名ブロガーの方々も登場し、イベントは大盛況の様子でした。


イベントの主題である、イングレスを用いた観光振興ですが、結論から言うと、イングレスを用いた地方の観光振興は「可能どころかかなり使える」という感触を持たれたとのこと。イングレスを用いた観光のメリットとしては、何と言っても人口の多さや有名な観光地に関わらず、ポータルがあれば人を引き付けることができるということ。宣伝されてなかったり、交通が不便だったりするせいで、あまり知られていないものの、日本各地にはまだまだ素敵な場所ってあるんですよ。それらをイングレスのポータルやミッションとして活用し、宣伝することで、ユーザーも行ってみたくなるんですよね。そこにはイングレスのエージェント特有の

行きづらい場所だからこそかえって行きたくなる

という心理もあるんじゃないかと思います。

そもそもイングレスには、自分のポータルを長く維持し続けることで得られる「Guardian」というメダルもあるため、人に知られてないポータルを所有することがゲームの上でもプラスになるんですよ。そういう心理を上手く突くことも、エージェントの魅力を集める秘訣になると思います。

自治体がやろうとすることを快く思わない人たち

でも、僕がそういった試み以上に、このレポで目から鱗だったのは、集客プロモーション担当の方の真摯な姿勢なんですよ。レポの中でも成功を決める要素として挙げられてますが

成功を左右するのは地元ガチ勢への根回しと中立性

これはイングレスにかかわず、多くの取り組みに言える事なんじゃないかと思います。


たとえば、自分のすごく大好きなアニメや漫画があって、そのアニメが自分に全く縁のない自治体の町興しに使われると聞くと、どう思いますか? 大半の人が悪い印象を持つんじゃないかと思います。というのも、

大好きなものを知らない人たちに荒らされるのは、ものすごく気分悪いんですよ。

ファンというのは、対象に対してかなりの思い入れをもっているもの。こう言うと傲慢かも知れませんが「やるなら俺らにスジ通せ」という想いは、ファンなら絶対あると思うんですね。それに対して、自らエージェントでもある集客プロモーション担当の方がどうしたかと言うと。

直接COMM(Ingressのエリアチャット機能)で「ガチ勢(ヘビーユーザー)」の方々に説明して回られたのだとか。きちんと身分を明かして「こういう目的で、こんなことをやろうと思っています」と。そうやって丁寧にコミュニケーションをとったら、ちゃんと理解をしてもらえたそうです。

これって、並大抵の努力でできることではないと思います。


新しい企画の成功には、ヘビーユーザーの意見に耳を傾けることは必要不可欠。とはいえ、相手はそれに対して自分たち以上に強い想いがあり、しかも猜疑心を持たれてるわけですから、この方たちとコミュニケーションを取るだけでも至難の業。にもかかわらず、身分を明かし、目的とやりたいことを丁寧に説明し、理解させ、協力を仰ぐことができた。その辛抱強さと向上心、謙虚な姿勢無しに、イベントの成功はありえなかったでしょう。むしろ、それができないような試みは、何であれたぶん失敗します。


余談ですが、長野県小諸市が舞台の「あの夏で待ってる」。舞台探訪で訪れるファンの方のために、小諸市、小諸商工会議所、小諸フィルムコミッション小諸市観光協会「なつまちおもてなしプロジェクト」を設立し、今もファンとの意見交流会を定期的にやってるそうで。実際それがどんな活動なのかはわかりませんが、ファンとの意見交流を定期的にやろうという姿勢だけでも僕は感服に値すると思いましたね。

斬新なイベントはマイナス評価から始まる

失礼を承知で言いますけど、自治体の新たなイベントなんてスタート時点からマイナスと言っていいと思います。しかも熱いファンのいるコンテンツを利用しようというのですから、ファンの警戒心たるや相当なものでしょう。でも、そこで逃げずにちゃんとコミュニケーションを取ろうとした。納得してもらおうとした。その苦労を考えると、その姿勢は凄く評価したいし、成功するために必ず乗り越えないといけないハードルでもあるんですよ。

「流行りそう」「儲かりそう」ということだけでは成功しないなんて、今さら言わなくてもわかること。でも、やっぱり安易にすがりたくなるもの。その気持ちはわからなくもないけど、そのためには、本当にその対象が大好きな、多くの人間の力がないとできないことなんですよね。レポの中でも、最低限「こちら側の人間」を中に1人用意するか、「こちら側の人間(地元のガチ勢)」に協力を仰ぐか、と言ってますが、本当その通り。むしろその両方必須だと僕は思います。


上のレポはイングレスについての記事ですが、それはイングレスに限ったことではなく、どんなイベントについても言えること。人を集めたい。活性化させたいと思うなら、中心人物と世界観を共有し、ファンの視点に立てることは必須。最初は嫌がられたり、そっぽを向かれることもあるでしょう。それでもめげずに、同じ視点に立ち、相手に自分のしたいことを徐々に理解してもらい、少しずつ味方を増やすことで、いつしか「自分の大好き」が「他人にとっても大好き」になり、多くの人に喜んでもらえるようなものになる。そして人が集まり、活気が生まれる。きっかけは何であれ、それこそが地域振興のゴールだと思うんですよ。


だから、街興しってすごく難しいんですよね…。

でも、だからこそ、各地で真剣に取り組んでる人たちがすごく愛らしくて、応援せずにはいられなくなるわけで。