…負けたのが悔しいんじゃない。
最後の試合で、球児とバッテリーを組ませてあげられなかったことが悔しいんです。
9月30日の甲子園での最終戦。その日は矢野選手の引退セレモニーの日。
試合は2点リードで9回。藤川球児がマウンドに登場。
2アウトから矢野選手がマスクをかぶり、矢野選手の最後の舞台となる予定でした。
ところが、制球の定まらない球児を待っていたのは、あまりに残酷な結末。
結局、矢野選手がマスクをかぶることもなく、
逆転負けの上、自力優勝も消滅という最悪の結果でした。
今までピンチを何度となく救ってきた絶対的な守護神が、
構えたところに全力で投げて打たれたんです。
責めることなんて誰もできません。
でも…それでも試合に出させてあげたかった。
暗黒時代を立て直し、リーグ優勝を支えた矢野選手に、有終の美を飾らせてあげたかった。
そう思うと…言葉も出てきません。
最後のセレモニーで、矢野選手は球児についてこう言いました。
球児でどれだけいい思いさせてくれたか。俺も球児にいい思いさせてもらった。
『俺らの誇り』ってファンの人も思ってると思うけど、
球児が打たれて文句言うやつなんていない。
球児が打たれたら、仕方がない。
その言葉を目にするたび、胸が熱くならずにはいられません。
そして、今日はこの負けを引きずったかのように、打線も投手も全く元気なく、あっさりと完封負け。
その瞬間、悲願の優勝の夢は、完全に途切れました。
CSに行くだけのチームと、優勝できるチーム。
その絶対的な力の差というものを、うすうす感じてはいました。
それでも奇跡を信じてましたが…それも叶わぬ夢となりました。
追いつくかと思ったら追いつけず、先頭を走ってたかと思うと抜かされ、
夢だけ見させて、いつも最後に裏切る。本当にダメな子ですよ、あのチームは。
でも…だからこそ愛着もあって。ダメな子だからこそ、もう少し見ていたくなるというか。
わけのわからない「情」のようなものを、なぜか感じさせるんですよね。
その情がアダになることも、わかってるはずなのに。
2010年9月30日。
ファンにとっては忘れられない日となってしまいましたが、まだ5試合残りがあります。
1位がダメなら全力で2位になってほしい。CSに行って一矢報いてほしい。
それがダメだとしても、この日の悔しさが、いつか笑える日が来ると。そう信じてます。
参戦は、まだ終わらない。