要は、自信がないんでしょ?
なぜ優越感ゲームが必要なのか? 簡単じゃないですか。要は、自信がないんでしょ?
他の人より知識があったり、他の人にない物を持つことで優越感に浸ることをここでは「優越感ゲーム」と言ってますが、それが必要な理由と言うと、自信のなさを隠したいからだと思うんですね。何かの分野で特出した才能を持ち、誰もが認めるような結果を残した人であれば別ですが、そんな人間はごくわずか。大半の人は、表彰台に上った経験もなく、誰からも絶賛されるような技術もない。それでも胸を張って生きなきゃならない。そのためには、こじつけでも優越感を持つことも必要だとは思うんです。
でも、そんなことに拘ってる自分が嫌だという自分もいるんですね。
僕も秀でた才能のない人間なので、自分にないものがある人を嫌ったり、妬んだりすることもあります。いわば「劣等感ゲーム」でしょうか。劣ってることを認めたくなくて、言い訳したり、強く反論したりしてしまう。それが何の意味もないことだとはわかっていても、それが抑えられない時だってあります。
でもそんな時、ふと思い出す漫画のワンシーンがあるんです。
でも、それって…誰との勝負なの?
その漫画とは僕のバイブル「しゅごキャラ!」。ヒロインと対決する組織の一員である先生が、ヒロインのしゅごキャラを使ってエンブリオを作り、組織のトップに立つことを企みますが、ヒロインの活躍で失敗に終わってしまいます。そのことに悲観して「負け組だ!」と嘆く先生に対して、ヒロインのあむがこんなことを言います。
「負け組? それって…誰との勝負なの?」
「それは…社会全体とか…そのー…」
「思い出せないの? じゃあ、たいした相手でもないじゃん」
「思いだせないの? じゃあ、たいした相手でもないじゃん」。何気ないこの言葉こそが、実はすごく重要なことを言ってるように思うんです。
誰に何をすれば勝ちなのか、なんてわからない
中学高校ぐらいまでは、学校が自分にとっての存在価値を示す場所であり、世界の全てなんですよ。そこでは足が速いとか、テストで点が取れるとか、絵が上手いとか、目に見える指標で優劣があるから、そんな指標で弾き出された子は、自分を主張するために自分だけの指標を作って、そこに固執するしかない。でも社会に出て、少し広い世界を見るようになると、目に見える指標も見えない指標もたくさんあることに気づくんですね。
もちろん自分の進む分野ではっきりした目標があって、そのために誰かをライバルとすることもあると思います。でも「優越感」や「劣等感」って、もっと漠然としたものなんですよ。ある知識で優越感に浸れたとしても、また別の知識で劣等感を感じたりする。収入で勝っていても人脈では負けることもある。ある物が手に入ったとしても、また別の物がないと嘆く。
結局のところ、指標なんて山ほどあるんですよ。だから、極めることなんて絶対にできない。何となく負けてる、勝ってるという意識だけはあるんだけど、突き詰めて考えれば、何をすれば優れているのかなんて、もうわからないんですね。それどころか、そもそも誰を相手にすべきなのかもわからない。
この「わからない」という感覚を知ること。これが優越感や劣等感から抜け出すためのキーだと思うんです。
じゃあ、たいした相手でもないじゃん
例えば僕の場合、テキストサイトなんぞやってますが、ネットをしててもすごく目につく人っているんですね。声優に直にインタビューしたり、著名人と友達だったり。はっきり言って羨ましいです。10年もやってるのにこの差は一体何だ。はっきり言ってけまらしい。××爆発しろ!なんてネガティブなことを考えますが、冷静になって考えると。
それは本当に自分がやりたいことか?
交流が広いことや有名人と知り合いであることも、もちろん一つの成功の証でしょう。でも、それは自分にとって本当に目指すべきところなんだろうか。そもそも自分がサイトを続けてるのは、楽しいと思うことを書くことであって、それらはそのための手段の一つに過ぎないんです。そう思うと、有名人を目指す必要もないし、とらわれることもないと思えるんですね。
どんな分野でも目立った活躍をする人はいる。でも、指標も対象も多種多様なんだから、その人と違うから劣ってるわけでも、下の人がいるから優れてるわけでもない。何かが悪くても自信を失うこともないし、何かが優れていても自信過剰になることもない。勝ち負けや優劣を決めているのは、他人なんかじゃなく、あくまで自分自身。争うべき相手なんて、結局のところ誰にもわからないんです。
じゃあ、たいした相手でもないじゃん。
そう感じられた時、優越感にも劣等感にも縛られない、すごく自由な自分になれるような気がします。
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