K's Station

「ご当地萌えキャラマスター」Komaの、愛と笑いのドタバタブログ

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特殊な能力を持つがゆえの絶望と希望。「琴浦さん」最終回

遅ればせながら、アニメ「琴浦さん」を最終回まで見ました。

忙しさもあって途中から見てなかったんですが、特に予定もない休日に、溜まったアニメでも消化するかと、軽い気持ちで見てたんですよ。で、その結果。

あの…もう、これ「今年No.1アニメ」って断言していいと思う



突然やってくる重い展開。次々に明かされる過去。特殊な能力を持つがゆえに人を傷つけ、傷ついてしまう悲しみ。それだけでも充分引きつけられるのに、それらを小気味のいいギャグと一緒にテンポよく畳み掛けてくるんですから、文句なしに面白かったです。ページを捲るのが止められない小説のように、最終回まで一気見してしまいました。


原作も全くの未読ですし、実際アニメを見るまでは、単にギャグアニメと思ってたんですよ。もちろん妄想とエロス満載のギャグや琴浦さんの可愛さも良かったですが、何よりひとつの「人間ドラマ」としてすごく面白かったです。琴浦さんを中心に、主要なキャラそれぞれが誰かに特別な想いをもっていて、無駄なキャラなど一人もいないんですね。

琴浦さんのせいで好きな幼馴染みと恋人になれない、葛藤と悲しみを抱えた森谷さんの切なさも印象的ですが、特に僕が注目してたのは御舟百合子でした。実は彼女、「千里眼」の持ち主である母の無念を晴らすため、琴浦さんの能力を利用するつもりだったんですよ。千里眼の件は鈴木光司の小説*1にもありましたけど、琴浦さんとは逆に、母に「力」があるがゆえに娘が心に傷を追うという展開は衝撃でしたね。

母が「力」をもつがゆえ、自ら命を絶った母と、絶望を背負わされた娘。
娘が「力」をもつがゆえ、人生を狂わされた母と、悲しみを背負わされた娘。

人にはない「力」をもつことで生まれる絶望や苦痛を、置かれた環境の違うふたつのパターンで見せながら、絶望だけで終わらせず、真鍋くんや室戸くんという理解者がいることで皆が救われる。よくできた話じゃないですか。特に真鍋くんの無邪気な明るさと行動力は見てて本当に格好良かったです。あんなに出来た主人公はアニメでもなかなかいませんよね。



ただ、ストーリーが良かったがゆえに、もっとしっかり描いてほしいところもありました。やっぱり11話の最後は少し唐突だったので、月野は表も裏もがっちり描いてほしかったですね。他にも千鶴の千里眼がどんな能力で、なぜ蔑まれることになったのか。春香の母が春香を捨てた本当の理由は何なのか。他にも気になるところは多いので、もし2期があるなら、このあたりをもっと突っ込んでほしいです。

さらに無茶を言うと、この脚本家と原作者には、ぜひ「琴浦さん」とは別に超能力ものをもうひとつ描いてほしいですね。1話を見た時にも宮部みゆきの「龍は眠る」を持ち出しましたが、宮部みゆきの小説のような、超能力を持つが故の絶望、悲しみ、そして希望を、ギャグを織り交ぜながらもっともっと描いてほしいです。

次はパイロキネシスをもった少女の話とかどうでしょう。


PS) 人の心が読めるって、そういうことよ。アニメ「琴浦さん」 −K's Station

*1:確か「リング」にも、千里眼の持ち主が本物と評されながら、あることをきっかけに周囲から徹底的に叩かれるという話があったと思います。