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「ご当地萌えキャラマスター」Komaの、愛と笑いのドタバタブログ

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自分たちの大好きな街を、笑顔で「おいでよ!」と言えるようになるために。 (「地方は活性化するか否か」を読んで)

「地方は活性化するか否か」をようやく読み終えました。
 

地方は活性化するか否か (マンガでわかる地方のこれから)

地方は活性化するか否か (マンガでわかる地方のこれから)

地域の活性化をテーマにしたWeb4コマ「地方は活性化するか否か」が、書籍で発売になると聞きまして。地元を面白おかしく紹介した、同じ著者の漫画が好きで読んでたこともあり、発売を楽しみにしてました。内容はWebでもパラパラと見ていたのですが、あらためて書籍を読み、率直な感想を一言にすると、

地方の活性化は思うより大変なんだなあ…ということでした。

内容は漫画ベースなので、ゆるゆると読めますが、本の帯にもある「笑えるけど笑えない」という言葉通り、ドキッとさせられるような要素もあり、地域活性化は想像よりも大変だと痛切させられました。僕は東京の近くで暮らしてますが、地元も都会とは言えないものの、車がなくても親子三世代の生活に支障ない程度には都会。地元にも今住んでる場所にも愛着がなく、そんな人間が地域活性化なんて言っても的外れかも知れませんけど。

それでも著書を読んで「地元のために頑張ってる人をサポートしたい」と、強く思ったのも事実です。


地方は活性化してほしいか否か

「…いずみん、『好き』の反対って知ってるー?」
「え? 『嫌い』ですよね」
「ううん、違うよー。『どうでもいい』だよ。地元なんてどうでもいいやーって思う人は、あんなにおこったりしないよー」

いきなりぶっちゃけますが、そもそも地域の活性化って本当に必要でしょうか。

当たり前のように「地域活性化」が言われてますが、そもそも地方の魅力って何でしょう。美味しいものが食べられる? 豊かな自然がある? そんなの都会でも手に入りますよね。都会の利便性を捨ててまで地域に拘る理由は、はっきり言ってないと思ってます。「ここにぜひ住んでみたい!」と他人に思わせるだけの地域の魅力を熱く語れる人なんて、地元で暮らしてる人はおろか、地元の行政に関わる人でも、数多くはないでしょう。

でも、廃れていく町並みを見て、何かしら寂しいと思ったことなら、あるんじゃないでしょうか。


僕は鉄道が好きで、全国を回っては地方都市の駅に降りて駅前をぶらぶらするのが好きなんですが、シャッター街って現実にあるんですよ。著書でも「中心地は廃れてるし、駅前は居酒屋とビジネスホテルばっかりだし、セレモニーホールが乱立し始め、ハコモノ作って税金の無駄使いしてるしー!」と憤るシーンがありますが、ホテルがあるだけまだマシ。都市の名称を冠した駅に降りても、ホテルはないし、あるのはチェーンの居酒屋1、2軒。営業してるかどうかも怪しい店だらけで、駅の小さなキオスクで買ったお菓子で空腹満たすしかなかった経験もありますからね。でも、そんな街でも地元で暮らす学生は確実にいて、駅を普通に利用してるんですよ。そんな様子を見ると、

この子たちもすぐに街を離れるんだろうなあ。何とかこの街に活気が戻ることってないんだろうか…。

と思うんですね。東京への一極集中は止まることはないでしょうけど、もう少し地方都市も何とかならないのかと感じたそんな気持ちが、地域活性化の一歩だと思うのです。著書では「『懐かしさ』が『せつなさ』に変わる」と書かれてますが、実に見事な表現ですね。昔の思い出が味気ない建物に変わる様子を切ないと思った、その気持ちを忘れないことが大事なんだと感じました。活性化の失敗の原因として、著書ではこんな言葉で表現されています。

やりっぱなしの行政
頼りっぱなしの民業
全然関心なしの市民

これらも胸えぐられるような表現ですけど、せめて「全然関心なしの市民」だけは、変えられると思うんです。


活性化はお金で生み出せるか否か

カネがない「地方」は、「カネでにぎわいを作る」んじゃなくて…「にぎわいでカネを作る」ようにしないといけないんだよ

活性化しない理由として、真っ先に上げられるのが「金がないから」だと思います。確かにお金が入ってこないことには地域の活性化もないわけで。お金をかけて人を呼べば活気が出ると思うかも知れません。僕は行政については全くわかりませんが、お金をかけること自体は不可能ではないように思います。でも、その使い方が悪ければ状況は悪化するだけ。施設があれば、イベントがあれば…。それで人が集まったとしても、単なる一過性のもの。継続が不可欠な活性化にとっては焼け石に水にもなりません。著書にもありますが、

「人が勝手に集まって活性化する」なんてことは絶対にないんですよ。

施設やイベントは人を呼ぶための手段。問題は人が来た時にどうするか。目的が街の活性化であれば、来た人に楽しんでもらうために、地元で何ができるかを第一に考えるべきだと思います。地元の美味しい食べ物を食べてもらうのもいいし、地元のイベントに触れてもらうのもいいでしょう。見落としがちですが、来た人に挨拶する、街を綺麗にすることだって立派なおもてなし。ないものをお金で何とかしようとするよりは、街が今できることを一生懸命取り組み、一緒になって楽しんだほうが、結果的には街にとってプラスになると思います。

アニメ「あの夏で待ってる」の舞台として有名な長野の小諸市が、「なつまちおもてなしプロジェクト」で県の知事表彰を受けたというニュースを見ました。その際、代表者のプレゼン資料に「アニメで地域活性化することはできません」とあって、ちょっと話題になりました。でも内容を見ると、本質的には同じことを言ってるんだと思います。アニメの聖地巡礼は特殊な例かも知れませんが、アニメもあくまで人を呼ぶ手段のひとつ。街の人が一ファンとして楽しみ、自分たちにできるもてなしを精一杯した結果、作品のファンが街のファンになり、いい結果に繋がったのであり、アニメで街が活性化すると思うのは、ハコモノを作れば人が集まると思うのと同じではないでしょうか。


あと、当事者意識も大事なんじゃないかと思います。著書では「的外れな活性化」として、「みのり駅周辺魅力創造プロジェクト事業」を例に挙げてます。名前だけでも地方自治体のニオイがプンプンしそうですが、やや恣意的で過大な面もあるものの、どこまでも絶望的なスパイラルは、笑いごとではないように感じました。お金は国から地方を抜けて東京に行き、緊急雇用対策も一時的なもので終わり、地元には何の得にもなることなく、将来を諦観するだけ。それも結局は、皆が人任せにした結果なんですよね。

上の三連コンボに表現されるように、金出したから後は知らない。情報発信の仕組み作ったから後は知らない。街の人は何も知らない。自治体がきっと何とかする。政治家がおそらく何とかする。金がたぶん何とかする…。こういう責任を他人に回してるだけの状態がまざまざと伝わってきて、読んでて辛くなりましたね。

この内容だけは、きっと著者のフィクションだと、思いたいですね。


僕たちはピエロになれるか否か

だから私たちが「ピエロ」として、まずこの「みのり市」に「楽しいイメージ」を作ることー。
そして、それを「本質」につなげていくことを意識しながら行動していくことが大事なんじゃないのかなー。

東日本大震災が発生し、日本全体が悲しい空気に包まれ、楽しいことを言うことすら憚られた時期がありました。そんな時に「知恵のある奴は知恵を出せ。金のある奴は金を出せ。何も出せないという奴は元気を出せ」というツイートが流れてきたのを覚えています。

地方の活性化もそうで、現状を悲観してもしょうがなくて、元気を出すところから始めるしかないんじゃないかなと思います。


上に挙げたように、行政任せ、政治家任せで上手く行くことは期待しにくい。だとしたら、街の人や興味がある人が意識して行動するしかないんですよ。自分たちが楽しみ、元気にしてる姿を見せる人を、著書では「ピエロ」という言葉で表現してますが、本当にその通り。金もコネも権力もない僕らには、楽しんでるところを見せることぐらいしかできないんですね。でも、人が楽しそうにしてるところには、一緒に楽しみたい人が集まってくるもの。あえてピエロを引き受けることで、生まれる効果は必ずあると思います。

地域活性化に必要なキーパーソンは「わかもの」「よそもの」「ばかもの」。そしてそれらを束ねる「きれもの」だと著書では評しています。地域活性化のみならず、華やかな成功の陰には名プロデューサーの存在は必要不可欠。僕は可愛いキャラが大好きなこともあり、可愛いキャラで街を活性化しようと頑張ってる人をいろいろ見てきました。僕が彼らを支援したいと思っても、地元に愛着もなければ、リーダーシップもない僕がプロデューサーや当事者にはなるのは難しいでしょう。

でも「よそもの」にはなれる。
活動をウオッチし、時には冷静に、時には熱く声を上げ、その活動をPRすることはできる。
それが、僕が今できることじゃないかと思っています。

地方の活性化は僕の想像を絶するほど厳しいものかも知れません。でも、実際にピエロとして活動してる人たちがいることも知っています。僕はピエロではないけど、せめてピエロを見て拍手を送る観客ぐらいにはなりたい。「すげーピエロがいるぞ!」と言い回れるぐらいにはなりたい。外部の人間にも、地方活性化のためにできることはきっとあるんじゃないかと思います。




長文になってしまいましたが、「地方は活性化するか否か」を読んで、感じたことを全て書きだしました。タイトルに引かれた方は、おそらく地方活性化に興味がある方だと思いますが、特に地方自治体にお勤めの方や、実際に地域で活動されてる方に読んでほしいですね。僕にできることなんて微々たるものですが、街のために頑張っている人を見ると、自分もできることを精一杯やらないと、と強く感じました。

自分たちの暮らした街を、自分たちの大好きな街を、胸を張って笑顔で「おいでよ!」と言える。
そんな街がひとつでも増えることを、僕も願っています。